10-06

会社の娯楽設備

 

 Geron時代のある日、同じグループにインド人のポスドクがやって来た。1か月も経たないうちに、彼はピンポンテーブルを購入することを提案し、社員から署名を集めて回った。何人集めたのかは知らないが、結局会社は新品の卓球台を買ってくれた。まあ新品と言っても数百ドルのものではある。興味深かったのは、入社したての言ってみれば新入りが提案したことである。まだ仕事面では何の貢献もしていないうちに、会社で卓球台を買いましょうと提案するなんて、多くの日本人には考えられないのではないだろうか。しかし私の知る限り、特に非難めいた声は聞かれなかったし、みんな別に何とも感じていないようだった。意見があるならそれを言うこと自体は何も悪いことではないといった雰囲気だ。もちろん会社が危機的な状況になる前の話ではある。

また会社のバックヤードには、バーベキューグリルと屋外用丸テーブルと椅子とパラソル、それにアメリカらしくバスケットのゴールがあった。以前は金曜日の夕方ともなると、ビールやワインにチーズ、チップス類の軽いパーティーが開かれていたものである。最初のレイオフがあって以降、そういった機会はほとんどなくなったけれど。

 

 現在働いているAnacorのキッチンには、VPの一人の提案により購入されたビリヤード台がある。キッチンと言っても部屋の一辺に流しや電子レンジ、冷蔵庫など、そして中央にテーブルといすがあるだけだ。ただそれなりの広さの部屋である。10 m四方くらいはあるだろうか。このビリヤード台は結構立派なものである。そしてちょうど私が入社した直後、パートタイムも含めて社員が20名ほどになったところで、全社トーナメント大会が始まった。公式戦に関しては対戦者同士で時間を調整すれば、基本的に何時でも構わないというCEO公認のルールである。実際に朝10時頃とか午後4時頃に、食堂から球を突くカツーンという音や歓声が聞こえてきたりもした。敗者復活戦もあって、最低でも一人2試合はするようになっている。勝ち続ければ45試合になる。さすがに昼間から練習はしないが、夕方以降はかなりはまっている人もいる。そこに置いてあってただで使えるのだから、ついやりたくもなるだろう。素人でもやってみれば結構おもしろいのである。スタートアップ企業がそんなことでいいのか!とお叱りを受けそうだが、もちろん皆仕事は一所懸命やっている。ただこんな形で気持ちに多少の余裕を持つのも悪くはないと思う私は、すっかりアメリカに染まってしまっているのだろうか。

言い訳ではないが、会社自体に全く歴史がないスタートアップは、様々なバックグラウンドの社員が集まってできた寄り合い所帯みたいなものだ。そういった場所では、このようなアクティビティが社員間のコミュニケーションを刺激し円滑にする効果もあるような気がするのも事実である。

正直なところ、私も金曜の夜は同僚とどちらがyou wanna play pool? と言い出すか我慢比べのようになっている。

 

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