10-06

遅刻のペナルティ

 

「日米の会社の違いは何ですか?」という質問をよく受ける。日本から訪ねてくる人の質問には必ずといっていいほど含まれている。シリコンバレー転職騒動の中でもこのトピックについては少し書いたが、今日もある人に聞かれて改めて考えた。

そして思いついたのが、日本にあってアメリカにない「遅刻のペナルティ」だ。シリコンバレーのベンチャーは、完全なフレックスタイム制である。一般社員であっても、多くの従業員が日本の管理職と同様1日の就業時間を定められていない。これを「exempt employee」という。そのかわり何時間働いても残業手当はつかない。あるいは単に年俸制と言ったほうがわかりやすいかも知れない。そしてそれは単なるタテマエではなく、ある日は10時間働いたかと思えば、別の日は用事があるので6時間で切り上げますということが、本当に誰にも気兼ねすることなくできるのである。仕事のペース配分が、ほぼ完全に個人の裁量に任されているのだ。

シリコンバレーの場合は車通勤がほとんどで、朝夕はフリーウェイが各所で渋滞する。その上途中で交通事故があったりすると思わぬ時間がかかったりもする。そういった事情もあるし、渋滞を避けたい(いわゆるオフピーク通勤したい)人もいるので、出社時間も帰宅時間もてんでばらばらだ。事前申告する必要もないし、毎日決まった時間である必要もない。もちろん常識の範囲内でという部分はあるので、この日は午後から来ますなんていう場合は事前に上司や同僚に伝えておくが、少なくとも通勤に関して「遅刻」という概念はない。従って、3回遅刻したら有給1日に代えるとか、ボーナスの査定にひびくとかのペナルティは全くない。 社内ミーティング等で、「2回続けて遅れたら次回は全員分のドーナツを持ってこい」といった冗談交じりのものは時たまあったけれど。

個人の裁量に任されているということは、いうまでもなく各個人が責任感を持って働かなければならないということで、これを逆手にとってサボってばかりいたら、そのうち厳しい処遇にさらされるのは当然である。上記のようなフレキシビリティは、上司や周りの人たちが納得するだけの仕事をした上での話であることは言うまでもない。

こういったやり方はいわゆる研究職に限ったことかも知れないが、多くのことを型にはめて自らを追い込んでいく日本式と、できる限りフレキシブルに持っていくアメリカ式のカルチャーの典型的な違いが表れているように思うのだが、いかがでしょう?

 

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