ぼられた引越し

 

20022月、アメリカ国内で初めての引越しである。距離はわずか1マイルほど。インターネット上では、数え切れないほどの引越し業者が派手なサイトを作って宣伝している。これだけではどこがいいのかわからない。日系の会社にも聞いてみたが、日本への国際引越しが立てこんでいて、ちょっと無理とのこと。この頃911日の同時多発テロから5ヶ月程たっていたが、アメリカに駐在員をおいている会社では、日本から新たに渡米する人と比べて、日本に帰国する人の方がだいぶ多かったようだ。職場でまわりの人たちに聞いてみると答えはいろいろ。でも我が家程度の規模なら自分たちでやるのが一番との声が多かった。実際こちらでは、レンタルのトラックを借りて自分たちで引越しをやってしまう人が多いらしい。そして後でその理由を思い知ることになった。

 

ただ私の場合以前に腰を痛めていて、自分でたくさんの荷物を運ぶのは避けたかったこと、渡米後半年ほどで、お手伝いを頼めそうな知り合いも多くなかったことから、現地の引越し業者に頼んでみることにした。事前の見積もりによれば4時間程度で$300もあれば済みそうに思われた。聞く話では、屈強な男たちがやって来て、大物もひょいひょいと運んでいくという。 アメリカならいかにもありそうな話だと思った。うちの場合は二人で大丈夫でしょうとのことで、本当かなと思っていたら、当日やってきたのは一人は確かに大きな男、もう一人は私と変わらない程度の小柄な男。この小柄なほうがボスらしい。最初に何枚もの書類にサインさせられる。時間単位で料金をチャージされるので、早く始めて欲しい私は言われるままどんどんサインする。ここにひとつのトリックがあった。時間ごとのチャージや損害保険に加えて、テープやシート等の消耗品の値段が書いてあったのだが、非常識なことはないだろうとたかをくくってあまり気にしなかった。大きい方はどんどん荷物を運び出してくれるのだが、小さい方があまり働かない。実質的に一人でやっているような感じだ。小さい方は、ソファー等大物の梱包を馬鹿丁寧にやっている。たかだか1マイル程度の移動にそんなに丁寧にやらなくてもと言ってみたが、ぶつけて傷ついたら困るでしょう?とまるでぶつけますよと言わんばかり。しょうがないので、そのままやらせた。

このアパートの部屋は、トラックを停められる道路から30メートルくらい距離があり、2階だったのでいちいちエレベータも使わなければならない。そのうちとても二人では終わらないと言い出して、結局三人の応援を呼ぶことになった。 終わってみればかかった時間は当初の見込みを大幅に上回る8時間。おまけに大物家具の梱包に使ったシートやテープ類の代金として$600以上も請求してくるではないか!このとき初めて「やられた」ことに気がついた。最初の書類はこのためだったのだ。そしてこれでもかと馬鹿丁寧に梱包する意味。丁寧にやればやるほど、時間も消耗品代もかかり奴らはハッピーというわけだ。おまけにチップまで強要され、ほんの短距離の引越しとしては法外な$1,400近くも払わされるはめになった。これほどまんまとカモにされる人はそういないと思うが、アメリカの引越し業者にはくれぐれもご注意を。私自身は高い授業料を払って、アメリカ社会の一面を見た気がする。

  

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