Cafe 101

Bioテクノロジージャーナル 2006年1,2月号

 

意外と日本人が少ないシリコンバレー

 

昨年1年間は、「シリコンバレー春夏秋冬」におつきあいいただき、ありがとうございました。今号からはリニューアルした新連載、Café 101となります。執筆は昨年に引き続き、Stanfordのポスドク小柳智義と、Palo Altoのバイオベンチャーで働く赤間勉ですが、今年はちょっと雰囲気を変えてお届けしたいと思います。

 

A「この連載、今年からどうする?」

K「そうですね、対談形式なんかどうでしょう?シリコンバレーの大学やベンチャーに関するいろいろな質問にバイオ博士が答えるとか」

A「それおもしろそうだね。そもそもこの打ち合わせもPalo Altoのスタンフォードの近所のカフェでやっていることだし、リラックスした雰囲気でタイトルもCaféなんとかみたいな感じでどうでしょう?」

K「だったらほら、ベイエリアの動脈とも言われるフリーウェイ101号線があるでしょう?そこからとってCafé 101(発音はカフェ ワンノーワン)っていうのはどうですか?101号線沿線には有名なバイオベンチャーもたくさんあるし、大学もあるし。それに偶然ですけど101って英語では入門編とか物事のいろはみたいな意味もあるし」

A「それはいいね!バイオ博士はともかく、僕らはそれぞれ大学とベンチャー企業にいるわけだから、それぞれで見たこと、聞いたこと、感じたことを持ち寄ったらおもしろいかも知れないね。日米の違いとか感じることもあるし」

K「日米に限らず、このあたりはいろんな国出身の人がいますしね」

A「そうそう、出身といえばこの地は本当に多国籍だよね。僕の感覚だと、中国本土、香港、台湾系が一番多いかな。それからインド、ベトナム、フィリピン、韓国みたいな感じ。ロシアやヨーロッパからの人もけっこういるよね。まあシリコンバレーが多国籍だというのはよく知られていることかも知れないけれど、それにしても日本人は少ないなあ」

K「日系のハイテク企業の人とかけっこうたくさんいますけど、確かにバイオ系の人にはなかなか会いませんね。派遣や駐在で来るような会社があまりないからかな。大学には留学中の人がそれなりにたくさんいますけど」

A「ハイテク系でも現地採用型の人はあまりいないらしいよ。これがバイオ系になるとほとんどいないに等しい。僕らはこちらでJapan Bio CommunityJBC)というネットワーク活動みたいなことしているけど、その中でも現地のバイオ企業で働いている人ってほんの一握りでしょう?」

K「日本の場合、あえて外国に出る動機は他のアジア諸国ほど大きくないですし」

A「でもせっかくこれだけ多国籍なこういう土地に、もっと日本人が増えたらいいんじゃないかなと思っているんだけど。食料にしてもエネルギーにしても、もはや海外とのつながりなしには存在できない日本なんだから、草の根レベル、個人レベルで多くの外国の人たちと相互理解を深めることができるこういった土地は本当に貴重だと思うのだけど」

K「まあ個人レベルでは人それぞれかも知れませんが、日本の将来のため、という点では私もそう思います」

A「このあたりは、海外にしては日本人が多いエリアだよね。でもその大部分の人たちは留学だったり駐在だったりと、数年以内に帰国することを前提とされている。一方、他の国から来ている人は、長期的にはともかく、短期的には帰るつもりなんかない人がほとんど。もちろんこれは良いとか悪いとかの問題ではないのだけれど、この地の特にバイオ領域で日本人の存在感がいまひとつ薄く感じられるのは、そういう違いによる部分もあるのかも知れないね」

K「スタンフォードにもかなりの数の日本人はいますし、近所のUCSFでも相当な数の日本人研究者が気を吐いていますよ。でもfaculty(教授クラス)はどこでもほとんど例外的ですね。先日スタンフォード内で行われた、自分のこれからのキャリアマネージメントを考えるためのセミナーに参加してみたのですが、各国から来ている大学院生とポスドクが50名ほどいた中で、日本人は私ひとりでした。そのうち帰国するという前提があるので、そういったセミナーには特に興味が湧かないのでしょうね」

A「民間企業、特にいわゆるベンチャーには、日本人の絶対数自体が本当に少ない。もうひとつ例をあげると、僕がいる会社で最近若手研究員を募集したのだけれど、全米各地から何十通も来た応募のほとんどが外国出身のポスドクだった。一応アメリカの企業なのにアメリカ人の応募が少ないというのもおもしろいけれど、それだけ外国人が多い中で、日本人はひとりもいなかった。当初はそんなの当たり前だと思っていたけれど、よく考えてみると、なぜ当たり前のようにいないのだろうと・・・」

K「それにしてもこの地域は移民が多いですよね。ちなみにスタンフォードでは、大学の総務みたいなところの職員でさえ移民の割合が結構多いみたいです」

A「そういえば移民は英語でもイミングラント(immigrant)だ!」

K「・・・。さようなら。連載中止にならないといいのですが・・・」

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