それでも日本人はできる!(9/12/2004)

 

しばらく前に、英語についてちょっと泣き言を書いたけれど、今回はその逆の話。私が知る限り、日本の企業研究者は本当に優秀だということについて書きたい。

私は日本の製薬会社で12年働いた後、シリコンバレーのバイオベンチャーで3年 あまり働いている。それも2つの会社でだ。これ以上二国間の企業研究者を比べて論じるのに適した人材 もそうそういないのではないかなと、最近思い始めている。

日本の会社のいいところは、大学を出たばかりの新入社員を専門領域に関してしっかりと教育してくれることだ。何だかんだ言っても具体的に医薬品を目指した研究現場である。日本の製薬会社の研究所で、あるまとまった期間を真剣に過ごしていれば、間違いなくプロのサイエンティストとして養成されるはずだ。社内には多くの研究テーマがある。従って、自分が属しているプロジェクトだけではなく、他の人たちがどんなことをやっているか、どんな問題をどのように解決しているのかを知ることができるからだ。自分自身が経験できることは限られる。ところが大手製薬会社では様々な研究テーマに関わる他の多くの人たちの生の経験を、機密保持のバリアの内側で知ることが可能だからだ。さらに多くの購読雑誌が当たり前のようにあり、情報検索ツールもたくさんある。他の誰かが有益な情報を提供してくれる。特に入社間もない若い方はこの特権を十分に認識し、活用しない手はない。自分が関わっていないプロジェクトのことには無関心などというのでは、もったいないことこの上ない。

そういった環境はスタートアップのベンチャーではあり得ない。そこには限られた数のプロジェクトしかなく、ただでさえ少ない社員の専門性が非常に偏っているからだ。雑誌の数だって限られる。それでも当然、時には予想もしない展開になったり、問題が起こったりする。そんな時に他の分野の経験者がいれば何とかなったのに、などというケースもある。また直接の経験者ではなくても、自分が以前少しでも聞きかじっていたことが何かの手がかりになるという場合も、意外と多いのである。

バイオのスタートアップでは、各自がそれまでに体得した知識や経験をもとに勝負しなければならない。だからこそ経験を積んだプロフェッショナルが求められるのである。日本の製薬会社で5-10年前後の経験を積み、かつPh.D.を持った研究員というのは どこへ行っても即戦力になり得るため、実はスタートアップのバイオベンチャーで最も求められるタイプの人材のひとつに相当する。

そして日本人はやはりとにかく真面目である。上記のように日本の製薬会社でしっかり経験を積んだ人は、シリコンバレーのバイオベンチャーでも十分やっていけるどころか、 ある程度の英語力さえ身につければサイエンティストとして十分にトップクラスの評価をされると思う。多くの人に、もっと自信を持って出てきていただきたいと思う。

 

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