10-06

レイオフされる心理?真理?

 

 私はインサイダーとしてこれまでに2回、レイオフを経験した。1度目は対象にならなかったが多くの同僚を見送った。そして2度目は自分が対象になった。こうした経験を通じて、レイオフに関する情報を得る機会が増えたし、またいろいろなことを考えることにもなった。

 よく言われるのは、レイオフは本人の過失ではないし、さらにはどんなに優秀な人であっても解雇され得るのだということ。従ってレイオフされたことを恥じる必要はないということだ。実際シリコンバレーの人々はレイオフされたことをあまり隠さない。本人はもとより、「この間うちの旦那がレイオフに遭ってね」みたいな会話は日常茶飯事である。理由のひとつには、次の就職先を探していることを広く宣伝して、仕事を見つける機会を少しでも増やすということもある。ただいくら本人のせいではないと強調されても、解雇されるのが嬉しいはずはない。たまたま転職しようと思っていたのでラッキーというケースもないわけではない。自発的な退職では未使用の有給休暇は捨てることになるし、何の手当もないのに対し、レイオフの場合は未使用の有休が換金される上、severanceという手切れ金みたいなものももらえるからだ。ただ金銭的には多少よかったとしても、当事者の気持ちとしてどこまで本当に嬉しいだろうか?

 私自身の気持ちを正直に考えてみると、やはりあえて宣伝したくはないという部分はあった。実際には珍しがられるのをいいことに「レイオフされちゃいましたー!」という感じで宣伝しまくっていたのだが、わざとあっけらかんと言いふらすことで、レイオフは別に恥ずかしいことじゃないんですよ と強調しつつ、自分を納得させていたような気もする。私は日頃からプライドの低さを誇りに(?)思っているのだが、正直なところやはりどこかでプライドを傷つけられていたのだろう。だからこそ後日私のレイオフが撤回され るという思わぬ事態になった後は、事あるごとに必ず「実は私の解雇は撤回されたのですが」と書き加えてきたのだ。事実なので、それをつけ加えることは当然でもあるし、より正確を期すことでもあるのだが、どこかで名誉回復的な気持ちが働いてい たのも間違いないのである。

転職のための面接に行くと、なぜ転職しようとしているのかを聞かれる。実際問題ここ数年は、レイオフされたからという理由が大多数を占めるのだが、それではやはりネガティブなイメージになると考える人は多く、本当の理由を言わない人も多い。それは一種の就職テクニックでもあるし、嘘はいけないとしても、人には自分に不利なことは言わなくてもいいという権利もある。ただ私は比較的正直に言ってきた。英語であれこれ取り繕うのが難しかったということもあるが、真の理由は、上記のようにレイオフ撤回という後日談があったからかも知れない。

 結果的にはそれで問題なかったし、それどころかレイオフに遭ったことを宣伝しまくったおかげで、あちこちでコラムを書いたり、レイオフに関する話を求められたりする機会を得ることになったので、自分にとってはよかったと思っている。 それでもなお、例えば初めて会う人に転職のきっかけを話すときは一瞬のためらいが生じることがあり、ほんの一瞬でもそれが生じると、何となくすぱっと言えなくなって、あいまいな言い方になってしまったりもするのだ。その直後に心の中で「何でもっとはっきり言わないんだ!」と悶えたりするのだが、つい何となく言いそびれてしまうのもまた事実なのである。これもやはり「見栄」 、あるいは「プライドが邪魔をしている」ということなのだろうか・・・。

 

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